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変わらないもの

+Hコラム
2021.02.03

日本は124年ぶりに2月2日が節分で、2月3日が立春という暦。春の訪れです。

そして2月3日は北欧フィンランドだけでなく世界的な建築家、デザイナー「アルヴァ・アアルト」のお誕生日。もちろん烏滸がましくも大好きで尊敬するデザイナーです。そこでふと目にとまった我が家にある2冊の図録があります。

久しぶりに開いてみると彼がデザインした建築はもちろん、家具や照明、ファブリックなど、私たちの日常生活のなかで長く使われて馴染み深いものもたくさんあります。

図録の1冊は葉山で開催された回顧展のもの。開催された時はひとりで、友人と…と鑑賞に行き、その都度違う想いで観ていました。有機的なフォルムの家具の世界観は一色海岸が見える近代美術館の窓からの風景と溶け込んでいて、つい時間を忘れて過ごしていました。普段はゆっくりと楽しめる大好きな美術館の駐車場が満車で並んでいる…。アアルトの人気ぶりの凄さ。そちらにもびっくりしていました。

そしてもう一冊の図録は更に昔、東京のセゾン美術館最後の展示で回顧展が開催された時のもの。この頃は今ほど日本はアアルトに向いていなかったようにも思います。その時の展示の館内は少し薄暗く、葉山のような開放感はなく、私が訪れた時は展示も最終日に近く、平日で人もまばらな館内。それでも偉大な建築家の、フィンランドという自然豊かな土地で生まれ、そこで使う人に目を向け、寄り添うデザインとそれを包む空間に圧巻されたのを覚えています。

更にそこから私の様々な「北欧」との出会いが始まっていきました。

あの時と今と。アアルトのデザインや作品は変わっていない。

でも時間が経過して、自分のライフスタイルも変化してきて、より深く、改めて良さを感じるようになった気がしています。そのデザインはもちろん、考え方にもますます素晴らしさや共感を覚えます。

とにかく使う人の立場を第一に、自然との調和を考えて、主張しすぎない…全てにおいて。それを20世紀の激動のなかで成し遂げ、今なお、色褪せないなんて…。

日本のライフスタイルにも合うデザイン。タイムレスなデザイン。そしてホッとするあたたかさ。これからも変わらず好きだと思います。

この一年ほどで暮らし方において変わらなくてはいけなかった事がたくさんありました。そのなかでいかに今まで通り自分らしく過ごせるかを考えていた日々でもありました。慣れてきたようで慣れなていないようで・・・。

変わらないものに触れて、改めて感じる変化。

また時期がきたらまだ一度も訪れていない娘も連れてフィンランドに行き、ゆっくりアアルトの建築や作品に触れられたら…と思っています。 plus-eitch

我が家にあるアルヴァ・アアルト展の2冊の図録。
上は2018年・下は1998年